まとめ

「電柱」を用いたフェルミ推定の考え方。コンサルティングファームを目指すあなたへ!

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「東京都には一体何本の電柱があるでしょうか?」

こんな突拍子もない質問が、コンサルティングファームや外資系投資銀行の採用面接では飛んでくることがあります。

「やはりレベルの高い企業は、そんなところまで知識を有しておかなければならないのか」と思う人もいるかもしれませんが、これは正確な知識を求めている質問ではありません。

フェルミ推定といって、とらえどころのない数量をいくつかの手掛かりにより概算していくという思考過程を評価するための質問です。

このフェルミ推定がコンサルティングファームの採用面接では頻繁に行われ、就職希望者がふるいにかけられていくのです。

「フェルミ推定で高評価を得られなければ、コンサルティングファームへの就職はできない」と断言できます。

そのためコンサルティングファームの面接に臨む前には、しっかりと準備しておくことが重要です。

この記事では、電柱を題材としたフェルミ推定の回答アプローチについて、詳しく解説をしています。

電柱を題材にしたテーマ以外であっても、この記事で紹介する回答アプローチは応用することができますので、是非参考にしてください。

「電柱」を題材にしたフェルミ推定の出題例

実際のコンサルティングファームの面接において、電柱を題材にしたフェルミ推定は以下のような出題例があります。

日本には何本の電柱があるか
東京都内には何本の電柱があるか

基本的にはこの2点ですね。

特に市場規模を求めるようなフェルミ推定が出題されるということはほとんどありません。

フェルミ推定には「消費型」「所有型」「存在型」「稼働率型」の4類型があると言われていますが、電柱を題材にした問題は「存在型」に分類されるタイプです。

これは主観も入っていますが、個人的には「存在型」が最も考えやすく、レベルが低いと考えています。

そのためフェルミ推定の考え方の基本として、しっかりとマスターしておくようにしましょう。

「日本にある電柱の数」をフェルミ推定で考えよう

では実際にコンサルティングファームの面接で「日本にある電柱の数を考えてください」というフェルミ推定が出題された場合を想定してください。

その実際の回答アプローチを詳しく解説していきます。

STEP①「日本にある電柱の数」を求める簡単な公式を立てる

仮にあなたが日本にある電柱の数が何本か正確に知っているとしましょう。

だからと言って、それをいきなり面接官に伝えるのはNGです。

冒頭でも説明したように、フェルミ推定はその数量を概算するにあたって、どのような思考プロセスを経たかということが重視されます。

まずは電柱の役割について考えてみましょう。

電柱の最も大きな役割は電力を供給することです。

ということは、電気が必要なところでは電柱が多く、電気がそれほど必要でないところでは電柱が少ないということが予想されます。

つまり、世帯数と電柱の数には相関があるのではないか、という仮説が立てられるでしょう。

この仮説をもとにして、具体的な思考アプローチへと移行していきます。

STEP②要素をさらに細かく分解する【因数分解】

人口が密集している都市部と、いわゆる過疎地域と言われるような山間部では、電柱1本がカバーできる世帯数は大きく異なるでしょう。

そこでさらに要素を分解することができます。

ただし、あまり細かく分解しすぎても仕方がないので注意です。

要素分解に時間を割きすぎた結果、時間が切れてしまうのでは元も子もありません。

ここでは「日本にある電柱の数」を以下のように分解してみることにします。

  • 平地の電柱の数
  • 山間部の電柱の数

平地では人口が比較的密集しているため、必要な電柱の絶対数も多くなります。

一方で山間部は人口が少ないため、それほど電柱の数は必要ありません。

さらに、山間部には人が居住していないエリアもあり、そこはそもそも電柱の数を数えるために考慮する必要もありませんね。

フェルミ推定では、このように要素の過不足なくMECEに考えることが非常に重要です。

例えば「平地の電柱の数」と「関東地方以外の電柱の数」というような分解をしてしまうと、以下のような欠点が生じます。

  • 関東地方かつ山間部でない地域の電柱が抜けている
  • 関東地方以外の平地(広島や札幌など)が重複している

このように要素に過不足があると、適切なフェルミ推定はできません。

コンサルタントとして、MECEに思考することは最低条件とも言われているだけに、どれだけ考えが優れていたとしても一発NGを食らってしまう可能性があります。

さて、話を戻しましょう。

「日本にある電柱の数」について平地と山間部に分けましたが、より詳細に定義していきましょう。

まず、日本の面積のうち、平地と山地の比率はおよそ3:7です。

しかし世帯数で見れば、平地と山地では8:2程度と言われています。

まずはこの情報を整理しましょう。

平地 山地
面積
世帯数(人口)

実際はもっと細かい比率になりますが、あくまでも概算すればOKなので、上記のようにキリが良い数値を使いましょう。

STEP③式に実際の数値を当てはめてみる

さて、ここで日本の世帯数を確認しましょう。

日本には全部で5500世帯あると言われています。

これはフェルミ推定の際に基本となる数値データなので、しっかりと頭に知識としてインプットしておきましょう。

この数値を元にすると、日本の平地には4400万世帯、山間部には1100万世帯があるということになります。

続いて面積について考えます。

日本の面積は約38万㎢で、これも常識としてしっかり抑えておきましょう。

少し計算しづらいので40万㎢ということにすると、平地面積は12万㎢、山地面積は28万㎢です。

では、実際に電柱はどのように設置されているか考えてみましょう。

これは個人の裁量により結構数字がぶれる可能性がありますが、平地ではおよそ50メートル歩いたら1本電柱に出くわすというようなイメージです。

よって、50㎡あたりに4本の電柱があるということになり、1㎢あたりに直すと80本の電柱があると想定できます。

これを平地全体に応用するためには、12万を乗算すればOK。

その結果平地には960万本の電柱があることが推測できます。

続いて山地の電柱について考えてみます。

平地では50メートルおきに電柱が設置されていると仮定しましたが、山地の場合はもっと少ないでしょう。

もちろん一切電柱が設置されていない部分もありますが、概ね200メートルに1本くらいの間隔で電柱が設置されているものと推測されます。

よって200㎡に4本、1㎢あたり20本と推測でき、580万本という数値が出てきました。

あとは先ほど算出した平地の電柱の数と、山地の電柱の数を合算するだけです。

日本にある電柱の数=960万+580万=1540万本

ちなみに実際の日本の電柱の数は約3500万本です。

今回は数字が大きく乖離してしまいましたね。

STEP④妥当性を検証する

以上のような流れで思考が完了したら、それを実際に面接官に発表し、質問やアドバイスなどのフィードバックを受けます。

上述の通り、上記の思考を経た結果、実際の数値とは大きく結果が乖離していました。

と言っても、これ自体は大きな問題ではありません。

何度も申していますが、フェルミ推定は思考のプロセスが最も重要で、結果は正確でなくて当然だからです。

むしろ桁が一致しているので、上出来とも言えます。

ここで重要なのは、改めて自分の思考プロセスを見直してみて、もっと改善できる点がないかを探すことです。

この修正力がどれだけあるかという点も、面接においては大きな評価ポイントとなります。

今回の思考プロセスに関して言えば、もう少し改善できそうな点として、以下のようなポイントがあります。

  • 平地の電柱を50メートル間隔と仮定したが、実際には30メートル間隔くらいだったのではないか
  • 山間部の3割程度はそもそも人が住んでいないので、考慮すべきではなかったのではないか

また、今回は「概算して求めた数値が実際よりも小さい」という結果でしたが、逆に多すぎる場合もあります。

その場合には「近年は電柱を地中に埋める動きが進んでいるので、自分のイメージ以上に電柱の間隔は広いのではないか」ということも考えられますね。

「電柱の数」を求めるフェルミ推定のアプローチ方法はほかにも

フェルミ推定のアプローチ方法は1つではありません。

当然、電柱の数を求めるアプローチ方法も様々です。

具体的なアプローチ方法としては、以下のような方法も考えられます。

日本人口2億人を電柱1本あたりがカバーする人口で除すことで求める
平均的な特徴を持つ都道府県の電柱数を求め、47を乗算することで求める

コンサルティングファームは、従来の発想にとらわれないような独自のイマジネーションを持つ人材を熱望しているということもあり、ちょっと変わった考え方は高い評価を受けることができます

もちろん、MECEに考えられている、論理の筋が通っているといったような条件はあるものの、余裕があるならばユニークな発想力も大切にしてください。

例えば「電柱1本に集まる鳥の数から日本の電柱総数を求める」というようなアプローチ方法も面白いかもしれませんね。

まとめ:電柱の概算からフェルミ推定の思考の幅を広げよう

フェルミ推定はコンサルティングファームの面接試験を突破するためには絶対に攻略しなければなりません。

その出題テーマは多岐に渡りますが、この記事では「電柱」を題材にしたフェルミ推定の思考方法について解説しました。

電柱の数を求めるような問題は、4類型あるフェルミ推定の「存在型」に分類されるものであり、最も考えやすい問題です。

しかしその考え方は、売上を求めたり、市場規模を求めたりするような問題にも応用することができます。

そのため「存在型」の思考法はしっかりと身に着けておきたいところです。

記事中でも説明したように、フェルミ推定の思考法は決して1つだけではなく、様々な角度から考えることができます

同じテーマであっても、様々な角度から思考してみることで、視野が多角的に広がり、思考力も高まっていくはずです。

何よりフェルミ推定はトレーニングがすべてです

繰り返しトレーニングしておけば、面接本番でも自信をもって思考ができるようになります。

難易度の高いコンサルティングファームの面接を突破するためにも、フェルミ推定の準備は抜かりなくしておきましょう。

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