現在、学生の2.7人に一人がJASSO(独立行政法人 日本学生支援機構)の奨学金を利用しています。特に大学や専門学校に在籍する学生に利用されており、多くの学生にとって身近かつ重要な教育資金となっています。
学生生活を送る上で非常に心強い奨学金制度ですが、最近では奨学金の返済遅延が社会的な問題になっています。JASSOは国が運営しているため、多くの人が比較的簡単に奨学金を借りることができます。しかし、「いつまで返済をする必要があるのか」、「返済が可能なのか」ということを真剣に考えずに奨学金を利用する学生が多くいます。筆者も「周りが借りているから」という理由で気軽に奨学金を借り、現在は返済に苦労しています。
この記事では「奨学金を借りたは良いものの、返済できるのかな…。」「いつまで返済が必要なんだろう。」という不安を抱えている人に向けて書いています。総額500万円以上の奨学金を借りた筆者の実例を交えながら奨学金の返済について解説していきます。奨学金の返済について不安がある場合は、是非参考にしてみてください。
節約のおすすめ
奨学金はいつからいつまで借りることができるのか?
奨学金は申込みをした月から利用することができます。奨学金の申込み後、審査に通ったら申込をした月までさかのぼって奨学金が振り込まれます。
ただし、奨学金は毎年継続して奨学金の貸与を行うかどうか、JASSOが審査を行なっています。基本的に奨学金は継続されるケースが多いです。しかし、留年するほどの成績不振や経済的な状況が貸与条件を上回る場合は、途中で奨学金が打ち切られる可能性もあります。
また、卒業が近くなるとアルバイトを辞めたり、卒業論文・研究でアルバイトをする時間がなくなって収入が大きく減る人が多くなります。そのため、「いつまで奨学金が貸与されるのかな…。」という不安を持つ人も多いと思います。
奨学金は原則として卒業するまで貸与されます。3月に卒業する場合は3月まで貸与があるので、卒業間近の大学生活を送る上での資金としても利用することができるようになっています。
奨学金は採用時期によって開始時期が異なる
奨学金は主に入学前に申込みを行う予約採用と在学中に申込みを行う在学採用があります。毎年、奨学金の貸与が継続された場合、奨学金を借りることができる期間は以下のようになります。
- 予約採用:原則として入学してから卒業するまで
- 在学採用:原則として申込みをした月から卒業するまで
ただし、基本的に留年や休学によって卒業が伸びる場合は、奨学金の打ち切りもしくは一時的な貸与停止となりますのでご注意ください。
奨学金の返済はいつから始まり、いつまで行うのか?
奨学金の返済は貸与が終了した月の翌月から数えて7ヶ月目から始まります。例えば3月に卒業する場合、3月の貸与が最後になるため、返済は7ヶ月後の10月に始まります。
返済をいつまで行うのか、ということに関してはJASSOが返済期間の上限を20年として、細かい返還期間(返還回数)の算出方法を決めています。
しかし、計算が複雑なので「簡単に計算したい!」という場合はJASSOが提供している奨学金貸与・返還シュミレーションに必要事項を入力して計算する方法がオススメです。
あなたの奨学金の貸与状況に合わせて、いつまで返済する必要があるのか計算できます。シュミレーションでは返還期間だけでなく、返済金額なども出てくるので、返済時の状況を具体的にイメージしやすくなっています。
2019年4月~2023年3月まで第二種奨学金8万円を借りた場合でシュミレーションすると、以下のような形で返還終了月が表示されます。
また、すでに奨学金の貸与が終了している場合は、スカラネット・パーソナルに確定した返還回数と残回数が記載されています。以下のように表示されているので、いつまで返済する必要があるのかスカラネット・パーソナルで確認するようにしましょう。
奨学金の返済が厳しい場合は滞納する前に返済期限猶予などの申請を行おう!
現在、奨学金の返済滞納が社会問題となっています。奨学金返済の滞納を続けると信用情報に傷がつくため、クレジットカードの作成やローンを組むことができなくなります。また、残りの返済額を一括で返済するようにJASSOから請求がきます。毎月数万円の支払いでさえ厳しいのに、一括で残額の返済は難しいですよね。
そのため、奨学金の返済が難しくなったら、返済期限猶予や減額返還など状況に合わせて申請を行いましょう。詳細については以下のJASSOのページをご確認ください。
ちなみに筆者自身は出産時に奨学金を返済する余裕がないと分かっていたので、出産前に返済期限猶予の申請を行いました。「手続きが複雑そう…」と思っていましたが、JASSOに電話で確認しながら進めてみると、必要な書類を集めて送るだけで意外と簡単に返済期限猶予の申請手続きを行うことができました。
また、出産や育児の準備で金銭的な余裕がなかったので返済の猶予を受けることができて非常に助かりました。奨学金の返済が厳しい場合は、早めに返済期限猶予の申請を行うことがオススメです。
奨学金を500万円以上借りて返済している筆者のリアルな返済実例
奨学金を借りていると「奨学金の返済はいつまでかかるんだろう…」「ちゃんと返済することができるかな…」このような不安を抱えている人は多いのではないでしょうか。
筆者は両親からの援助なしで全て自分で準備して支払う必要があったため、奨学金を多めに借りていました。以下が私の奨学金を借りていた時の状況です。
- 毎月の奨学金:第一種奨学金を毎月約5万円、第二種奨学金を毎月5万円(最初の1年半は12万円)
- 貸与期間:4年間
- 貸与総額:約550万
- そのほか:国立大学文系、一人暮らし
そして、現在の返済状況が以下のような状態です。
- 毎月の返済額:約2.5万円
- 返還回数:240回(20年)
- 貸与総額(元金):約550万円
- 残元金:約480万円
- 返済期間:2年9ヶ月
新卒当時の生活費は以下のような状況で、毎月2.5万円の支払いは非常に厳しかったです。
- 手取り:約15万円
- 家賃:約6万円(東京)
- 食費:約3万円
- 光熱水道費:約1万円
- 通信費:約1.5万円(携帯電話・wifi)
- 日用品・衣服費:1万円
- 奨学金:2.5万円
頑張って約3年返済しても、元金が70万円しか減っていない現状をみると、切ない気分になります…。また、夫も奨学金を借りて院まで進学しており、総額800万円の奨学金を借りていました。そのため、現在は夫婦合わせて約1300万円ほどの奨学金を返済しなければなりません。毎月約5.5万円の返済を行なっていますが、支払いはかなり厳しいです…。
奨学金は借りるのは簡単でも、返すのは大変です。結婚した相手も奨学金を借りていた場合、合計で返す金額はとても大きなものとなります。
今となっては「もっと少ない額を借りていたらよかったな…」と心から思います。
奨学金はいつまで・どのくらい返済が必要なのか確認しておこう
奨学金は大学や専門学校などでの学生生活を送る上で非常に心強い制度です。しかし、奨学金は必ず返済する必要があります。借りるのは簡単ですが、多い金額を借りてしまうと返済が大変になります。貸与中の場合は奨学金をいつまで・どのくらい返済する必要があるのか、必ず確認しておきましょう。