コンサルタントは転職先として、とても人気が高い業種です。
中には「エンジニアからコンサルタントに転職したい!」と考えている方もいるでしょう。
しかし、コンサルタントは文系出身の方が多いため「エンジニアから異業種であるコンサルタントに転職できるのか?」と不安ですよね。
結論から言いますと、全く問題ありません。
むしろ、エンジニアとコンサルタントは実は親和性があり、他の未経験業界・業種と比較しても転職しやすいです。
また、エンジニアからコンサルタントへの転職した人は想像以上に多いです!
そこで、本記事ではエンジニアとコンサルタントの親和性の理由や、求められる役割、転職で押さえておきたいポイントについて
元エンジニアで、なおかつ2020年度にコンサルタントの転職面接を受けた私が解説します。
エンジニアとコンサルタントは実は親和性があり転職しやすい!?
冒頭でも述べました通り、実はエンジニアとコンサルタントは親和性があります。
意外だと思われた方も多いのではないでしょうか。
しかし、エンジニアでの実務経験や、学生時代から培った能力は、コンサルタントに必要な能力と共通しています。
ここからは、エンジニアとコンサルタントの親和性がある理由を3つ紹介します。
エンジニアとコンサルタントの親和性①:論理的思考が習慣づいている
まず、論理的思考が習慣づいていることです。
コンサルタントは企業や国家プロジェクトなど、失敗が許されないものに携わるため、机上の空論な回答は許されません。
また、コンサルタントにとってのお客様は、社長や役員などの「お偉いさん」であり、彼(彼女)らに提案することが仕事です。
コンサルタントが出した提案を「お偉いさん」に納得していただくためには、論理に基づいて提案や説明をすることがとても大切です。
そしてエンジニアは日ごろの業務だけでなく、学生時代から論理的思考が身についており、また習慣づいています。
学生時代では実験や研究を通じて改善点を考えることや、論文作成や学会発表など論理的思考を使う場面は想像以上に多いです。
さらにエンジニアの実務でも、問題点が生じた場合「なぜ?」を繰り返して考えたり、他部署や客先に論理的に説明する場面もありますよね。
そのため、コンサルタントに必要な論理的思考は自然と身についています。
エンジニアとコンサルタントの親和性②:数字に対して抵抗がない
次に数字に対して抵抗がないことです。
実は数字に対して抵抗がないことは、コンサルタントに転職するうえで大きなアドバンテージになります。
なぜなら、お客様に対し論理的に提案をするためには、表やグラフを用いて説明することが重要であるためです。
そしてエンジニアは日ごろから解析結果や実験結果など数字のデータを取り扱っており、グラフを作成する機会も多いでしょう。
さらにお客様へのプレゼンはもちろん、学生時代の学会発表でも表やグラフを用いて説明する機会が多いですよね。
学生時代とエンジニアの実務経験でこなしてきたデータ整理やグラフ作成などの数字を取り扱う業務や、数字を用いた発表は、コンサルタントに必須な能力です。
そのため、コンサルに転職した後も業務に早く慣れることが出来るのではないでしょうか。
エンジニアとコンサルタントの親和性③:メーカー向けのプロジェクトで即戦力になる
最後に、メーカー向けのプロジェクトで即戦力となることです。
コンサルティングファームによりますが、メーカーやIT系向けのコンサルティングを行っているところも多く存在します。
しかし、社長や役員を納得させることができる内容でも、実際に業務を行っているエンジニアにとっては改善の実感がない可能性があります。
そこでエンジニア出身のコンサルタントは、実務経験があることから業界の現状や将来性、会社の内部事情について詳しく把握しています。
そして、実務経験を踏まえた提案をし、経営者から若手社員まで納得することで、お客様からますます信頼されますよね。
エンジニアが求められるポジションや役割
エンジニアからコンサルタントに転職した後に求められる役割は、「メーカー・IT系のプロジェクトで実務目線から見ることが出来ること」ではないでしょうか。
先ほど紹介した通り、エンジニア出身のコンサルタントは、エンジニアの業務や業界の将来性、会社の内部事情を、実務経験を通じて体感しています。
知識ももちろん大切ですが、実務経験があることは知識より何倍もの力になりますし、何より提案の現実味と説得力が増します。
特に製造業を取り扱う「総合コンサルティング」やIT専門の「ITコンサルティング」では、重宝されるのではないでしょうか。
エンジニアからコンサルタントに転職したい方が押さえておきたい3つのポイント
エンジニアとコンサルタントに親和性があることや、元エンジニアのコンサルタントに求められる役割について紹介しました。
そのため、エンジニアからコンサルタントに転職を希望される方は、親和性や役割を理解したうえで選考に臨むことが大切です。
では、コンサルタントの選考に臨む上で具体的に押さえておきたいポイントはどのようなことでしょうか。
ポイントを3つ紹介していきます。
エンジニアで培った論理的思考を書類でアピールする
まずは、書類で「論理的思考ができる」ことをアピールしましょう。
特に職務経歴書の「自己PR欄」に記入すると、効果はバツグンです。
第2新卒や若手社員ですと「アピールできるほどのエピソードがない」「こんな低次元のエピソードでコンサルに転職できるのか」と感じるかもしれません。
しかし、エンジニアは学生時代から論理的思考の習慣がついているので、客観的にみると平均点以上なことが多いです。
そのためどんなに些細な内容でも、「論理的思考を用いて仕事をした」という実績は立派なアピールポイントになります。
ですので、胸を張って論理的思考を用いたエピソードを職務経歴書に記載し、アピールしていきましょう。
面接前にエンジニアでの実務をマクロな視点で棚卸しする
次にエンジニアでの実務を「マクロな視点で」棚卸しすることです。
実は「マクロな視点」での棚卸しは、コンサルタントの面接の対策において重要であり、またコンサルタントの仕事においても大切な要素。
コンサルタントの業務内容は企業やプロジェクトの方向性について考えることですから、企業やプロジェクト本体だけを見るのは不十分です。
そして、コンサルタントは競合企業や競合プロジェクトとの比較検討や、景気・業界全体の先行きを踏まえた上で提案する必要があります。
このように「マクロな視点」が身についているか、面接で見極められます。
例えば、製品のある1部品の設計業務が現職だった場合、製品を全体で開発する部署や仕様の決め方、生産に至るまでの一連の流れを説明できるようにしておくとよいでしょう。
そのために、1つの製品が作られる流れの中で自分の業務はどの立ち位置にあるのかを整理しておきましょう。
面接で長所を聞かれたらあえて論理的思考以外をアピールする
最後に、面接で長所を聞かれる場面はコンサルタントへの転職に限らず出くわします。
先ほど「論理的思考を書類でアピールしよう!」と紹介しましたが、面接では論理的思考以外をアピールすることを強くおススメします。
理由としては「論理的思考」を面接でもアピールすると、面接官の中でハードルが上がってしまうためです。
実は私が2020年にエンジニアからコンサルタントへの転職面接を受けた際に、論理的思考をアピールしてしまい、面接官の中でハードルが上がりました。
最終的に「論理的思考が足りない」という理由でお見送りになりました。
論理的思考をアピールしたのに論理的思考不足で落とされるとは、情けない話ですよね(笑)
エンジニアからコンサルタントへ転職する際の3つのアピールポイント
上記の私が失敗したことを踏まえて、エンジニアからコンサルタントに転職する際に有効なアピールポイントを3つ紹介します。
是非参考にしてください。
協調性
1つ目は協調性です。
コンサルタントの業務はプロジェクトごとにチームが組まれます。
そのためにチームプレーに長けていることや、コミュニケーション能力が求められます。
エンジニアでも、コンサルタント同様に1つの製品やプロジェクトで、複数人でチームが組まれますよね。
加えて他部署やお客様、仕入先など多くの方とチームプレーで業務を進めてきています。
コンサルタントとエンジニアで仕事スタイルの共通点ですので、チームで何かを成し遂げた「協調性」のアピールは効果ありです。
課題解決力
2つ目は課題解決力です。
「課題解決力は論理的思考と同じではないか?」と感じるかもしれません。
しかし、論理的思考と課題解決力は似ているようで、若干異なります。
- 論理的思考…現実性のある筋道を立て、第3者にわかりやすく説明する力
- 課題解決力…課題を見つけて、試行錯誤を重ねて解決していく力
コンサルタントでは論理的思考、課題解決力の両方が求められます。
コンサルタント業務は企業やプロジェクトの課題を解決することですから、課題を見つけ、現実性のある筋道を立てた提案をし、課題を解決します。
そして課題解決力も協調性と同様にエンジニアの仕事を進めることで培われています。
例えば、あなたが設計開発を担当しており、試作品で仕様を満たさない箇所が生じたとしましょう。
この時に「仕様を満たさない要因の場所はどこなのか?」「なぜ仕様を満たさなかったのか?」ということを考えますよね。
そしてトライ&エラーを繰り返すことで課題が解決します。
この一連の流れが「課題解決力」です。
そのため、課題を見つけ、要因を分析しトライ&エラーを繰り返し課題を解決する一連の流れを経験したことにより、面接官の印象は上がりますよ。
発想力
3つ目は発想力です。
コンサルタントの業務は数年後、さらには数十年後を見通して企業に提案をする必要があります。
しかし、数年後や数十年後の未来に確証は得られません。
例えば2010年にあなたが、2020年に東京オリンピックが開催される予定だったことや、新型コロナウイルスで失業者が増えることを予測できたでしょうか。
そのため、論理性だけではなく「発想力」も立派な強みになります。
もちろん発想に現実味を持たせるため論理的に説明できるようにする必要がありますが、1つの発想に論理を加えてカスタマイズすることは出来ます。
ところが、論理から発想は生まれないので、発想力を持っているとコンサルティング業務において、論理的思考力と同じくらい重宝されます。
そして、エンジニアの中でも特に開発に近い職種の方は「発想力」を武器にして仕事を進めてきたのではないでしょうか。
加えて、自分が開発した技術で特許を持っていると、自らの発想を論理的に説明できるという大きなアピールポイントになります。
エンジニアの中でも開発に近い仕事をされていた方は、発想力も視野に入れてみてはいかがでしょうか。
まとめ:エンジニアからコンサルタントへの転職は難しくない!
本記事では、エンジニアからコンサルタントに転職できるか否かについて紹介いたしました。
あなたが感じていた以上に、エンジニアとコンサルタントには親和性があり、コンサルタントに求められる能力はエンジニアとして勤務する前、つまり学生時代から習慣づいています。
そして、エンジニアの業務に全うする上で培った能力をうまく伝えることで、コンサルタントへの転職の選考をクリアすることができます。
本記事がエンジニアからコンサルタントに転職したいとお悩みの方にとって、少しでも後押しとなれば私としては幸いです。